怪異のような幻覚

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僕がシャブ中だった頃の出来事。 

当時僕は覚醒剤でパキパキになりケダモノじみたセックスを
堪能したあと、持て余すムラムラとしたパワーを発散するべく、
夜は山へ行った。
 
その日も、別に特別なことはなく自宅でキメたあと、
後輩の正司を電話で呼び出して彼が運転するハイエースに乗って
いつものように気まぐれに山道を走り、茨木市の車作から
高槻市の萩谷まで通る林道に着いた。 

時間は深夜の一時を回ったころ、そろそろネタを追いたいと思い、
車を運転する正司に

『適当なとこでいっぺん車止めてくれへんか?』

そうお願いし、丁度萩谷へ向かう林道の真ん中辺りにある車の
駐車スペースに着いた。

僕は助手席から、窓ガラスがフルスモークになった後部座席に移り、
シャブキット一式の入ったポーチを取り出し、静脈注射の準備に
取りかかった。

追い突きなのでネタはさほど多くは入れていない。

準備を終えると早速左腕の袖を捲り上げて、腕の外側...肘から手首を
走る太く長い静脈を狙った。

注射針は一度で血管を捉えた。
押し棒を引くと、シリンジに自分の赤黒い血が吸い上げられる。
いつものように、一度の引きで一センチ程血を吸い上げて、血でネタを溶かす。
今度はそれを半分程血管に押し入れ、一呼吸置いて再度血を吸い上げる...。

当たり前のように、血管の中をシャブが流れる感じを味わう。
そうしてなるべく落ち着いて呼吸をすると、身体中の血が下に
落ちるような錯覚がおこり、二度目に押し入れるときには頭が痺れる
感触がある。

すると..何故だかいつもとは異なり目がチカチカする。
それに伴い遠くから何かの音が響いてきた。


...ジャン、シャンシャカ...ジャン!...シャンシャカ...ジャン!
耳で聞こえるというより頭に響くという感触。

作用が効いてプルプル震える手でシリンジの全てを静脈に注ぎ込んだ。
血管から針を抜く際、針を少し引くのに合わせ腕を上手く力ませると、
針が抜けても血液は漏れない。

そうしながら、視線は針先と血管を見るのだが、視界は赤や緑に点滅する
ようになり、針を抜いた瞬間には頭の中で
ジャン!シャンシャカ!ジャン...と音が響き渡り、

その刹那、
窓の外から強烈な視線を感じて目を移すと、
林道沿いの山の茂みが、まるで段々畑のように五段ほどに帯状に分かれ、
一番下を右から左に何かが走り抜け、その上の段は左から右に緩やかに
植物が流れて、またその上は右から左と、それぞれの段差が互い違いに
チカチカと赤緑に点滅しながら動いている。 
そうして、一番上の段は山の木立と茂みに覆われているが、そこから
物凄く強い視線を感じた。

『それ』は、ザックザックと音を立てて左から右に、
木立の影を行くのが見える、影になってハッキリと姿は見えない。

一番下、車の窓のそばを右から左にイタチのような手長猿のようなものが
テケテケと走り抜ける、僕はなぜだか目を反らせない。
それらは全て痛いくらいにこっちを凝視してるのが分かる。

ジャン、シャンシャカ!、ジャン!
音は割れんばかりになる。

その時正司が
『山の上!なんか走った!』
と驚いた声をあげた。

僕はハッとして、車のなかで後部座席から助手席に移動しようと
『正司!どこや、なにや!?』

フロントガラスから真っ暗闇の山の茂みを何かを探すように
見渡しながら聞いた。

『わかりません、デカかったです...』

その時にはシャンシャカいう変な音は遠のいていた、
目のチカチカはゆっくりと続いていたが。

僕一人でシャブの幻覚だと思い、強い視線を感じながらチラリとしか
山の茂みを見なかったのだが...。

正司の大きな声で意識が冴えたが、突いたあとすぐは
何だかボンヤリして迫り来る音と目の前を右から左に走るイタチのような
変な生き物に目を奪われていた。


今思い返しても、その出来事は印象的だった。

ただ僕はシャブの幻覚とリアルな何かが混ざり合った
得体の知れない『それ』が不気味だった。

その後、助手席に車のなかで移動し、念のため抜き身の包丁を手に
外を確認したが、もう視線の感触も音も消えていた。
正司に突いてる最中に感じた『それ』の話をすると、

『幻覚じゃないですよ!何かいましたよ、絶対!』

そんな風に言っていた。
それで二人で冷や汗をかいて山を降りた。


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コメント(2)

こんばんは
貴方が見たのは幻覚じゃないようですね
主人は昔幻覚を見たと話してくれました
当時 付き合っていた彼女と部屋でアルバムを見ていた時の出来事だそうです
若い時はホストをしていて それなりに店では売り上げが伸びたようで
ひっきりなしに女が居る そんな生活だったようです
主人はその中でも 特別な彼女と付き合うようになり 部屋に呼んだ時の話しです
2人でアルバムを見て話をしていたら
気が付くと彼女が隣に居ない
幻覚なのか本当なのか 写真に写っている自分までも「俺じゃない」と思い大切な写真をビリビリに破いたそうです 現実と幻覚の狭間で「初めて怖い」と感じたと話してくれました
最初で最後の幻覚だったそうです
覚醒剤を辞めて5年「 今はやりたいと思わなくなった でも何かあったらやりたいと思うかもしれないし 目の前にあったら間違いなくやるな」そう話してます
過去の自分を断片的しか覚えてないとも聞いています
この頃 当時を思い出したようで突然昔話をする時があり 私としたら過去は過去で思い出して欲しくないと思ったりもします 覚醒剤まみれの生活で当然刑務所にも行きました 当時の大切な家族、子供も無くしました
主人は「覚醒剤も別れも金も全てが俺の本当の人生だったから忘れちゃいけないきがする」と言われたことがあります「じゃないと否定しているようで悲しくなる」と言います
私はそれより これから将来のことを考えて欲しい 過去の記憶からまた覚醒剤に手を出してしまったら〜そう考えると怖くて仕方がありません
貴方の言う過去と未来の狭間で揺れ動いているのかもしれません
本人も 十分納得している事なのに過去には戻らないと決めた事なのに
頭の片隅に消す事の出来ない記憶が残ってるんです
だから 主人は自ら連絡先を全て削除しました
私は個人的に主人と貴方をリンクしてみてしまいます
主人も貴方もほっとけない存在なんです
今を大事に大切に過ごしてください
長々と失礼しました

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