千のナイフ

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千のナイフ


吸い込む煙り...返す吐息
鼻の奥から体に取り込んだクスリの感触が行き渡る。
あるいは
腕に透けて見える青い静脈の中に刺さる針の先から、
体に注がれるクスリが、
自分の血と絡み合い混ざりながら、
腕を伝い脇の下を潜り、首を伝い...

透明な血が意識の中枢を支配する。

吸い込んだ煙りは、肺を通じて血流に溶け込む。
直接注ぎこんだ透明な妖気の感触は、
体温と水溶液の温度差によって確かめられる。

プラスチックのシリンジから
意識の中枢まで届くのはほんの数秒だ。
だけど、
血管を流れ行くクスリを意識するとまるで、
緩やかに確実に犯されるように、
体は流れを妨げることなく、
自分を支配する。

本能に目覚めたケダモノは、
退屈な時間を従順に生きる人間の息の根を止めるべく、
自滅するほどの狂喜に震えて、
味気ない風景を官能に彩られた刺激に輝かせる。

自分以外がなにもかもマヌケに見える。

背徳に悶えるのも...皆殺しにするのも、気分次第だ。

体を這う舌が、身体中を粟立て
絶頂の際まで快楽を高める。

目にする光は眩しく、
俺を発情させる完璧な錯乱を打ち消し、
湿気た気分を連れてくる。

震える歓喜に満たされるのは、
新月より暗黒の
...夢さえ見ない深い眠りが覚めた後、
激しく蠢く本能が
再び
騒ぐ
よろこび。


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