寓話『蟲』

| コメント(0) | トラックバック(0)

寓話『蟲』


俺は真っ白な意識のもと
狭い『此処』からでなくてはならないと、躍起になっていた。
此処が何処だかわからない。
しかし『どんなことをしても』ここから脱出しなければ終わる!
それだけは分かるのだ。
必死にもがこうとした...がうまく動けない、
何か勝手が違う気がする。
何が違うのか気にもなったがそれ以上に、急がないと終わってしまう、
分からないなりに、動かないなりに全身を奮わせ、もがいた。

『...在りたい』
そう思った。

頭を上げた。
その時、冷やかな空気...新鮮な空気だ。
頭の後ろから流れてくる冷やかな風と『拡がり』を感じる。


何故だか分からない、だが
『俺は此処にいてはいけないこのままでは駄目だ!』
意識が光を求めた、光?
そうだ光だ。
とにかくさっきと同じようにもがくのだ
違和感を覚えたはずの体の隅々に意識が及ぶのがわかる。

なんのことだか分からない、しかし体を震わせると痺れた...手足?
手足だ、そうだ手足を動かすのだ。
背中に感じる新鮮な空気、其処へと早く脱け出すのだ。

その時目が潰れるかと思うほどの神々しい光を感じた。

そうだここだ、世界は光だ!

もがいているとようやく『其処』から抜け出た感触があった、呼吸する。
まだ痺れがとれないが、さっきまで居た狭く苦しい場所ではない、
再び全身を奮わせ全身を大きく伸ばした。

縮こまっていた体が大きく伸びたのを感じる。

痺れた意識が段々と落ち着きを覚える。
見えるすべてが真新しい。
苦しかった呼吸が落ち着いてきた。
開放感が心地よい。

光にも慣れた頃...どのくらい『こうしていた』のか考えてみたが思い出せない。

ようやく意識とその思考が把握出来てきたとき、飢えを感じた。

自分には使命があるように感じる...使命?なんだそれは。

まだ頭が惚けているように感じたが
此処ではない何処かへ向かわなければならない気がした。

体を動かすと背中の大きな羽が揺れた。
『行ける!』
そう気づいたときには、光を目指して飛び立っていた。
体が空気を纏うような感触が心地好い。

昔とは違う気がする、昔?なんだそれは?
俺は果たさなければならない、
そう、光のしたで在りつづけると...。

何かへ向かい羽ばたくことを覚えたことに気づいた。

...。


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://svahadevie.com/mt/mt-tb.cgi/528

コメントする

最近のブログ記事

Powered by Movable Type 5.2.13