正司、四

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正司、四

僕の携帯電話がガラケーからスマホに替わり、LINEというアプリによって
再び正司と復縁した。

それはブログを書くようになって以降の話。


復縁したとき
『俺シャブやめてん』

そう電話で話すと、
『今度顔だしますわ!』

そんなふうに言ってた。
たぶんポン中の俺が嫌だったんだろう(笑)。


久しぶりに再会した正司はヒゲと髪が長かった。

『俺が今ヘラヘラわらってこうしてられるのは、正司のお陰やで?』
そんなふうに久しぶりに乗る正司のハイエースを運転しながら僕が言った。


正司は公安委員会から自動車運転免許を取り上げられ免許がなかった。

久しぶりに会いに来てくれたとき
『ドライブしましょう(笑)』

そういって無免許なのに我が家まで来てくれた。

『また無免許で車にのったら親父さんに叱られへんか?』
そんなふうに僕なりに気遣って言うと、

『あんまり親父を安心させて、早よフケられてもかなわんです(笑)』
笑いながら言うが、奴から家の話をしてくる...
たぶん何かがうまくいってないのだろう。

僕が口を挟んでも何一つ役立てないから、そんなふうに感じながら黙った。

『さっきの話やけどな...』

車のハンドルを右にきる。
向かう先は、昔...というにはまだ早いが、僕がポン中全開のころに
何度となく向かった『山の上の寺』がある道だ。

僕は久しぶりに正司に会えた嬉しさから、
奴が消えたあとどんな道程をへて現在にいたったかを、言葉を選んで話した。


居場所を無くした僕が
半ばヤケクソで一人山へゆき、大雪降るなか釣れるわけもないのに
シャブの妖気に凍てつきながら渓流釣りをしたこと。

誕生日前日に一人で山へゆき、
テントに隠(こも)り寂しさに咽(むせ)びながら静脈に大量のシャブを
突いたら...気絶して、翌日ケロッと目覚め、携帯電話に嫁さんから
『誕生日おめでとう』
と一言のメールが来てたことに気づきなんともやるせない気持ちになったこと。

正司と二人で歩いた道なき山を、
後に一人で何度も歩き、そのときにどれほど気持ちのうえで正司に
支えられていたのか気づいたこと。

あとは逮捕されたときどんな様子でどんな感じだったか...

そんなことを矢継ぎ早に話した。

その間正司は窓の外を眺めながらカラカラと笑って話を聞いてくれた。


久しぶりに二人でくる山は少し積雪があった。
車の幅くらいしかない林道に差し掛かったとき、

『禰彌さん雪道苦手でしょ?運転代わりますわ』
そういって運転席に座った。

僕は少し安堵して助手席に座った。

大きな鳥居のしたを車は山頂へむかう道を登り始めた。

『俺が禰彌さんの前から消えたのは...』
不意に正司が話はじめた。


まだ早朝なので空には月がでてた。

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